消費される人間関係

 商用インターネットが始まった頃の時代を、必要にかられて、会社のスタッフらで回想する。
 54kモデムはまだあまり無かったとか、iijがまだ個人向けサービスをしていなかったが、大手として中心的存在だったとか。
 ついこの前なのに、はるか昔のように思えてくるのが恐ろしい。これが今の時代のスピードなのだろう。流行る歌もドラマも言葉も、前より速いスピードで消費されていく。森山和道サイエンスライターさんが日記でも語っていたが、最近は人間関係にも消費感覚が入り込んでいる。
 村上龍だか椹木野衣だかも、おもしろいことを言っていた。つまり、昔は一生で知り合う人の数は限られたものだったが今ではネットのおかげで、ふつうなら知り合うはずのない多くの人に知り合っている。知り合うはずがないならそれはある意味、死人と同じである。現代は死人の知り合いを増やしている時代なのだと。
 まあ死人でもなんでも知り合いも情報も、そんな感慨とは無関係に、日々、増えていくわけだが、それを引き留めて何か形にしていくことがきっと大事なのだろうな。