2006-01-01から1年間の記事一覧

「ウェブ人間論」を読んでみた。

ウェブ人間論梅田 望夫 平野 啓一郎 Amazonで詳しく見る by G-Tools さっそく読んでみました「ウェブ人間論」。 先に「新潮」で行われた対談の完全版といった内容です。 「新潮」という文芸誌の記事として読む限りは、梅田望夫×平野啓一郎という組み合わせに…

100年目の坊ちゃん。

坊っちゃん夏目漱石 Amazonで詳しく見る by G-Tools 今年は夏目漱石「坊ちゃん」が発表されて100年。 丸谷才一が新聞や雑誌に「坊ちゃん」について寄稿しています。 特に今月発売の「群像」1月号のエッセイは、ある新説が述べられていて興味深いです。 その…

ゆるゆるメディア、ラジオの時間。

ラジオ体操のすべて丹生健夫 日東管絃楽団 体操 Amazonで詳しく見る by G-Tools ブログが定着して思うのは、ずいぶんと相互監視がきつくなったなあということです。 少しでも暴論めいたことを書くと、すぐさまその箇所がリンクされ、瞬く間に炎上となります…

愛羅武、夜露死苦。

新潮 2006年 12月号 [雑誌]Amazonで詳しく見る by G-Tools 「新潮」12月号に掲載されている谷川俊太郎と都築響一の対談が面白いです。 この対談は都築さんの『夜露死苦現代詩』が発刊されたことにちなんで行われたものです。 『夜露死苦現代詩』も新潮に連載…

夜、時々すばやい動作で、のしかかる。

最近、出す本が次々と脚光を浴びている中沢新一先生が、NHKの「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」で、折口信夫について語っています。 今週で3回目ですが、しばらく忘れていた折口信夫の世界がまた蘇ってきて、わくわくします。 番組の趣旨は、たぶん折口…

ロボッチイヌと浮世だんご。

NHK落語名人選 (5) : 三代目 三遊亭金馬三遊亭金馬(三代目) ポリドール 1990-05-25売り上げランキング : 54043おすすめ平均金馬以外の孝行糖って…「孝行糖」「薮入り」〜いずれも18番Amazonで詳しく見る by G-Tools 現在のマイブームは、三遊亭金馬(三代…

ネズミのことが気がかりでつい読売夕刊を読んでしまう。

ほとんどの新聞記事はネットで読める時代ですが、著作権の関係もあって、新聞連載小説はやはり紙で読むしかありません。 思えば、あの横長で真ん中に挿画がひとつあるという紙面のスタイルは、漱石の時代から変わっていませんね。 どんなに大事件が起きても…

志の輔、昇太、たっぷり。

最近はどうも気分がすぐれないのですが、好きな落語を聴いていると少しは気持ちが上向きになります。 iPodで聴くのもいいのですが、やはりライブで噺家のなりを見るのがたまりません。 安藤鶴夫がある随筆の中で、舞台に登場する姿見たさにやってくる客が昔…

椎名誠の実験。

銀天公社の偽月椎名 誠 Amazonで詳しく見る by G-Tools 「100年後の純文学」と銘打った、椎名誠の新刊が出ました。 「銀天公社の偽月」。これは「新潮」や「文學界」に発表してきた短編を集めたものですが、いずれも彼得意の奇妙な暗さを伴った近未来が描か…

丸善に檸檬。

愛用のボールペンのインクが切れたので、替芯を求めて丸の内オアゾの丸善にふらりと寄りました。 ここは建築的にはとてもすばらしいところだとは思うのですが、どうしても日本橋にあった頃の風情を懐かしく感じてしまいます。 地下鉄の通路から繋がっていた…

阿部先生、逝く。

先日、養老孟司先生から「若い時期に、人生の相談相手のような人に出会った人は幸運だ」という言葉を伺いました。 知識として何かを教えてもらうのではなく、暗示的なかたちで生き方や考え方を示すような師。 その時はなんだかわからないけれど、何十年か経…

にせものかホンモノか ー ポスト・デジグラフィ

恵比寿にある東京都写真美術館で「ポスト・デジグラフィ展」が開かれています。 http://www.syabi.com/details/digigraphy.html この展覧会は、一見すると単なるCGアートの紹介のようですが、実は私たちが今、情報や文化を吸収する際に直面している深い問題…

家具としての若冲。

覚悟はしていましたが、案の定混んでいました、プライスコレクション「若冲と江戸絵画」展。 やはり「新日曜美術館」が放映される前に行くべきでした。 しかしこれだけの人が押し寄せるというのは、メディアの力だけではなく、若冲の絵に現代の人を引き寄せ…

時をかける少女、復活。

原作の筒井康隆氏が「よく稼いでくれるお嬢さん」とコメントしていましたが、この「時かけ」、今回で実に7回目のリメイクです。 時代が移り変わっても、魅力を失わない力がこの作品にはあるようです。 ディープなツツイストとしては、他の作品に比べて、「…

桂三枝トリビュート。

大銀座落語祭グランドフィナーレを飾る大立て者勢揃いです。 桂三枝トリビュート。 場所は先月、談志・志の輔が命を張った新橋演舞場です。 あの親子会は過度の期待のため、もの凄い緊張が演者にも客にも漂っていましたが、 今日はうって変わってリラックス…

今、蘇る円朝芝居噺。

毎年、足を運んでいる「志の輔らくご in 下北沢」。今年も行ってきました。 本多劇場という舞台を意識してか、ここでの公演は毎年趣向が凝らされています。 昨年は、文楽とのコラボ、それも落語の「猫の忠信」を元にした新作(?)文楽で、 落語ファンのみな…

ニューヨークでバルテュス。

久しぶりにニューヨークに行ってきました。 相変わらず刺激的な街で、古くて新しい発見にいくつもぶつかり、一週間もいるとへとへとになります。 あらゆる著名な美術館には私に対して容赦ない力を持った畏るべき部屋が存在しますが、ここニューヨークではメ…

ネット時代の図書館。

まあ既に多くの人が語っていることではありますが、図書館とアマゾン。この二つは現在の書店の天敵かもしれません。 最近、図書館を頻繁に利用するようになって、特にそう感じるようになりました。 私の家の近所には、区内でも有数の大型図書館があるのです…

作家とダイレクトに繋がる時代。

前回のエントリーを「ウェブ進化論」の著者の梅田望夫さんからトラックバックをいただきました。ありがとうございます。 http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/20060503 このように著者のかたとダイレクトに繋がるというのが、まさに梅田さんの言われるような…

梅田望夫+平野啓一郎

「ウェブ進化と人間の変容」と銘打って、例の「ウェブ進化論」の著者梅田望夫さんと作家の平野啓一郎さんが今月号の「新潮」で対談しています。 梅田さんとこういうタイムリーな対談をするのは、作家では村上龍あたりかなと思っていたので、平野さんという名…

弟子ァはみんなバカ。

「弟子ァはみんなバカ。」と言ったのは立川談志。 それでも弟子になる奴が噺家になる。 落語は誰かの弟子にならなければ始まらない世界だ。小説のように新人賞も無いし、宝塚のように学校があるわけでもない。今も昔も師匠と決めた噺家に直談判するしかない…

嫉妬される志らく。

志らくのシネマ落語。池袋・新文芸座。先月の銀座・中央会館から志らく続き。 今月は「ドライビング・ミス・デイジー」。合わせて「百川」「明烏」「手紙不筆」を演ったのだが、それらのネタを随所にはめこんでくるので、すべての演目が繋がっているような感…

島田雅彦怒る怒る怒る。

アニキとして怒り、厳父として鉄槌を食らわしていた島田雅彦の文芸時評が終わった。 ほとんどの書評や時評が単なる新刊の提灯記事化している現在、希有な鋭さを持った批評だったので、終わるのはとても惜しい。 最終回は今までの憤懣が爆発したかのように、…

歌舞伎でイナバウアー。

三谷幸喜の初の歌舞伎、「決闘!高田馬場」がついに千秋楽に。幸いにも楽日に観ることができた。 前日にWOWOWで中継していたのをちらっと見てしまっていたが、役者の運動量がもの凄いことに驚いた。どこかに歌舞伎役者というのは一年365日、芝居をや…

福田和也、終わる。

最近、ラジオばかり聞いている。 ラジオというとアンテナ感度的に聴く場所が難しくて、どうしても億劫だった。 しかし昨年、「TalkMaster」というMP3録音機能の付いたラジオを手に入れてからは状況が変わった。 目についたラジオ番組をこれに片っ端からタイ…

台湾でオタク。

噂には聞いていたが、台北駅地下街(北側)が凄いことになっているというので、行ってみた。 フィギュア、同人誌、ゲームを扱うショップが軒を連ね、さながらミニ秋葉原である。 地下街は新宿サブナードのような雰囲気で、服や雑貨の店もあるのだが、客が群…

志の輔らくご、4連発。

最近、文学賞絡みで「勝ってよかった」だの「足の裏の米粒」だのの発言を聞いて、なんだか小説を読むのが嫌になってしまった。本屋の小説棚を見ても、食指が動かない。ワイドショーで御立派な正義の正論を吐いている作家の単行本がピカピカ光っているだけだ…