山口晃

東京都現代美術館へ。
球体関節人形展」。
「MOTアニュアル2004 私はどこから来たのか/そしてどこへ行くのか」。



 好天の休日・春休み中・展示会最終日・イノセンス絡みでヲタ注目という最悪の条件が重なる中行ってみると案の定、チケット買うところから長蛇の列。今まで行った中で一番の激混み。まあある程度予測していたので仕方ない。
しかしチケットを買う人々を見てると、ほとんどが人形展のみ観覧のチケットを買っている。ここまで来たんだからセットで常設展やアニュアルとかも見ればいいのに。
 ヲタ男(集団)やゴスロリ系女子(太)が普段の客層より目立つ。
 会場は芋を洗うが如き状況なので、人形が林立していても妖しい雰囲気は全く味わえず。ろくな柵もしてないので、人形が今にもぶち倒されそうで見ていて心配になる。というか床にバラバラにされて置かれた人形とかもあって、倒されていてもいなくても見分けがつかない(笑)。やはり平日に来れば良かったと後悔。



 早々に人形展は引き上げ、アニュアル展へ。
 澁澤龍彦「菊燈台」の挿絵で一気に萌え度全開になった山口晃氏の作品を見る。
 氏は日本古来の大和絵の技法とユーモアを見事に踏襲し、その卓越した描画力を武器に、他に類のない独特の世界を確立している。いわば現代の絵巻物師です。
 とにかく理屈抜きにどの絵も見ていて楽しいのだ。中西夏之氏の公開制作の現場を活写した作品などを見ていると、たぶんこれは現場で実際撮影したビデオや写真の類などよりずっと「その場」をリアルに切り取っており、時空を越えて優れた記録として残っていく価値も持っている。
 蕪村風の墨絵タッチで描かれた「すずしろ日記」などは作者の絵描きとしての妄想日記なのだが、絵画作品なのに思わず、その場で「読みふけって」しまうほどおもしろい。
 他にも攻殻機動隊的メカ武者ドローイングや、軽トラで武器を運ぶ武者どもが現代だか江戸だかわからない東京に集結してくる絵巻など、どれも思わず欲しくなる作品ばかりだ。マジで売ってほしいです。
 しかし日本的伝統の技法をこれだけ現代モチーフと見事に融合させた作家は今までいなかったのではなかろうか。
 「美術手帖」の2004年1月号で会田誠とともに特集が組まれているので、詳細はそちらで。



帰路、日本橋三越
一保堂煎茶、井上海苔、ダロワイヨまい泉、神茂など買う。



蟹海老スープ
海老フライ
もずく
久保田 萬寿