ミレー

新日曜美術館」ミレー特集。「種蒔く人」の修復など。
ミレーといえば、農民の姿を主題にした画家として有名だが、私は子供の頃、この「種蒔く人」「晩鐘」などがどこか恐ろしくて不気味だった。たぶん人物が逆光で描かれていて、その表情がよくわからないことと、「種を蒔く」という行為になにか奇妙な罪悪を感じていたのだと思う。



 番組のゲストは筒井康隆。筒井氏といえば、かつてミレーやドーミエといった画家のコレクターであり、その顛末はいくつかのエッセイに詳しい。番組では筒井氏がかつて所有していた「鵞鳥番の少女」も登場。筒井氏曰く、この作品は絵で音を表現しようとした実験的なものだという。なるほど、絵には中央に流れる小川に大量の鵞鳥がわんさか描かれており、いまにも鵞鳥の騒々しい鳴き声が聞こえてくうようである。
 筒井氏、確かこの絵を数千万の額で購入していたような記憶があるが、作家というのはかつてそれだけの贅沢ができた職業であったのだ。文化に人がきちんとお金を落としてくれた良き時代といえよう。



その後、BS2にて映画クイズのような番組を見ていたら、またもやゲストは筒井氏。今度はヒッチコックについてひとくさり。曰く、ヒッチコックは自らの子供っぽい部分をうまく映画に生かしていたからこそ魅力ある作品になった。やはりホラーは頭でつくっても怖くないということか。
しかし、筒井氏、波は違ったといってもほぼ連続で番組出演。確か、同じ日に同一出演者を出してはいかんという規定が某放送局にはあったはず。私はそれである時ごたついた経験があるが。うーむ。



鳥かつ
佃蝦
玉乃光