三社祭

三社祭、始まる。
町のあちこちに神酒所が出来て、お囃子の音色が流れている。

地元のやくざさんらも道ばたにテントを張って自前の神酒所をこしらえている。一応、公道なのだが、誰もそんな野暮なことは言わない。
明日になれば、100人以上の全身グラフィッカー達が集まってきて、一年に一度の身体のぶつかりあいを見せてくれる。
TVのニュースでは決して映らない光景であるが。


新調した半纏に合う帯を求めて近所の「めうがや」へ。
祭時期とあって、狭い店内は人でいっぱい。
浅草にはここの他にも多くの祭り用品屋があるが、ここは別格。祭り用品のグッチと呼ぶ人もいるほどだ。
柄が何十種類もあって迷うが、混雑もしているので無難なものを選んで退散。
その足で神社に向かうと、燦然と輝く宮神輿が、日曜の出番を前にして、お囃子が鳴り響く中、静かに並んでいた。
三社祭というと浅草寺のお祭りと思っている人もいそうだが、実はその隣の浅草神社のお祭りである。
まあそうは言っても両者は互いに密接な関係があるので、神輿はちゃんとお寺にもお詣りするのだが。
早朝、神社の扉が開くと同時に飛び出してくるトラ猫はこの時期どこに行っているのだろう。毎度、神社の中から出てくるので、うちでは密かに神の使いニャンコ先生と呼んで崇めている猫だ。


午後、PC関連出版社で映像取材。
インターネット黎明期の昔話で盛り上がる。
システムバグのために電子メールが国際ループして通信料が何百万になったとか、98やX68000、アミーガ、アポロなどの思い出話がわんさか出る。同席していた人々がほとんど同世代なので、体験がシンクロしていて面白い。しかしマシンの型番や人の名前などディテールが思い出せないこともしばしばあり、口惜しい。やはり最後は記憶力の勝負であるなあ。
それにしても最近レトロな話ばかりに魅力を感じてしまって困ったものだ。レトロブームとはいえ、新しいものも開拓していかないといかんと自戒。


かつお
みょうが
久保田万寿