きつね寿司

marudonguri2004-05-28

 来年の企画展のために会場下見を兼ねて、上野の国立科学博物館へ。新館で「スターウォーズ展」。
 さすがにピークを過ぎた感じで、客はほどほどの入り。しかし本館からのアプローチが遠い。なんでこんなめんどくさい作りになっておるのだ。


 入り口で、会場内での飲食禁止のため、口に含んだ食い物(おにぎり?)をティッシュに吐き出させられている客がいて、びっくりした。もぎりのお姉さんが慣れた手つきで客の口元にティッシュを突き付け、吐かせるとすぐさま足下のゴミ箱に投げ捨てていたのを見ると、今まで何十何百人とそうやって対処してきたのだなということがわかる。やけに手つきがマニュアル自動化しているのだ。お姉さんにティッシュをあてがってもらいたくて、わざと口をもぐもぐさせてくる奴もいそうだ。うーむやばい。実は新手のリピーター作戦か(笑)。


 会場は予想通り手狭な感じ。これで果たして現在企画していることができるのか心配になる。中途半端になるのが一番いやだ。
 巨大な展示物は、レース用ポッド。まあ映画ではほとんどCGなわけで、実際これが「ホンモノ」かどうかは不明。たぶん企画展のためにつくったのだろう。
 今はなんでもCGで作れるので、あとでイベントやるときはブツが無いから、わざわざブツを作らねばならない。なんだか本末転倒な話だが、こういう傾向はこれからCGが多用されればされるほどどんどん顕著になるだろう。
 逆に言えば、ブツが残ってるような実写ものの「仮面ライダー怪人展」とか「東宝特撮メカニック展」とかやれば、生っぽくて受ける気がするが。


 時間が余ったので、東京国立博物館へ。日本美術応援団の山下裕二先生の「平日の東博はイイよ」という言葉を思い出し、館内に入ると、いやまあほんとに空いててイイ。写楽を見ても独り、織部を見てても独り、兼光を見ても独り。
 たまに来るのは間違って入ってきちゃったという困惑気味な外人だけ。どうもルーブルMOMAのような感覚で来たのに、当てが外れたという感じである。
 まああんまり興味を誘うような展示もしてないんで、しょうがないか。これではさすがにまずいと思っているのか、今年の夏は長期休館して、秋に大リニューアルするらしい。しかし大衆受けすればいいというだけの子供っぽいリニューアルだけはやめてもらいたいが、どうなんだろうか。少し心配。


 刀剣の部屋で景長とか国光とかじっくり見る。どれも思ったより細いし短い。考えてみるとそのほうが軽いし実戦向きなのだろう。太くても重いだけで疲れてしまうわけだ。
 誰もいないので、ケースの横ににじり入ったりして厚みなんかも間近で見たりする。切っ先が眼前に迫ってくるので、迫力満点。これでズバアアなんて切られたら、逆に痛みも感じないんではないかと思ったりする。よく腕のいい板前は刺身のマグロの細胞もつぶさずにスッと切るというし。


 そういえば某映画監督が「キル・ビル」に出てくる刀は波の刀文が無いからニセモノじゃと吠えていたが、それは流派によっていろいろあって、別に波の模様が無いからニセモノというのは違うようだ。事実、陳列されている重文クラスの刀でも波の文があるほうが少ない。
 半可通に刀に難癖を付けるくらい彼はよほど悔しかったのだろう。まあああいう痛快人切りチャンバラものっていうのが今の日本ではつくる機会が少ないのが寂しいことではある。


 今月で閉店の「きつね寿司」のいなり。予約していたのを取りに行くと、もう明日からの予約も受け付けていない。事実上、手元にあるのが最後のいなり。上野の鈴本の弁当といえばこのいなりであったわけだが、それもおしまい。屋号のきつねのマークも可愛かったが、妙にくどくない味が絶妙だった。一口ずつ惜しみながら食べる。


いなり
鶏スープ
大吟醸立山