marudonguri2004-12-11

志の輔らくごinPARCO」。毎年暮れに催されるこの会も今年で9年目。今回は、エントランスに門構え風の入口をしつらえたりしてなかなか洒落た感じ。
 この会はただの落語会ではなく、その演出が派手になことで有名である。毎年、その演出は仕掛けが凝ってきている。しかし、志の輔氏自身も言っていたが、これだけ期待値が高まると、紅白の小林幸子状態でなかなか続けるのがたいへんだと思う。


 今回は新作2題に古典1つ。派手な演出は新作の2つ目にやってきた。内容はネタバレになるので、この公演が終わったあとにまた書くことにしよう。噺の内容から薄々予想はしてたが、ベタでそのものズバリが出てきたので驚いた。さぞ仕込みが大変だったろう。実に天晴れ。
 噺的には始めの「瘤取りじいさん」が面白かった。日本の民話を翻訳する主人公に、編集者である外人が、民話「瘤取りじいさん」の意味を問うという内容だが、いつもなにげなくスルーしているお馴染みの民話の穴を突いたところがなんともおかしい。


 ちなみに、落語家は古典をただ繰り返しやっていると思ったら大間違いで、志の輔氏を始めとして、桂三枝春風亭昇太、三遊亭歌之介と秀逸な新作を精力的に作っている噺家も多い。
 考えてみると、演芸の世界には、こうした創作に対して何の批評もなければ賞もない。デビューの頃にある新人賞から年寄りになってからもらえる芸術院賞の間には、まるでなんにもないとは、ちょっとさびしいのではないか。賞を目指してやるわけではないが、賞を通じて、その人を知り新たなファンもできると思うのだが。
 文学賞みたいに毎年優秀な作品に対して、巨匠の名を冠した賞を与えればいいと思うが。円朝賞とか志ん生賞とか。