ハワイの緑の光。

marudonguri2005-07-14

 七夕の季節に天の川を見たくて、ハワイに。
 天の川を見たことのある日本人は53%という調査をどこかで発表していたが、それは多いのか少ないのか正直わからない。私も中学生の頃に北アルプスに登った時に初めて見て以来、今までずっと見ていない。
 東京では見られないのは当たり前だが、様々な場所に旅行に行っても、あまり夜空を眺めるということをしなかったから、もうすっかりその姿を忘れてしまっていた。


 ここのところ神経がすり減ることが続いていたので、星でも見れば少しはリフレッシュできるかと思い、世界でも有数の観測地であるハワイ島のマウナケアに登ってみた。
 日本でもお馴染みのすばる望遠鏡を眼下に見ながら、遠く水平線に沈む夕陽を見る。
 夕陽が沈む一瞬、オレンジの陽光が緑に変わるという。思わず昨年読んだ平出隆の「緑の光」を思い出した。
 あの時は詩人のことばとしてしか捉えていなかったが、こうして夕陽を眺めていると本当なのだろうと思えてくる。
 残念ながら、その一瞬の緑を感じることはできなかったけれど、すうっと自分の身体の中を何かが突き抜けていくような気持ちになった。


 マウナケアはハワイの人々が信仰する神様が祀られていて、一種のスピリチュアル・スポットとなっている。日本と同じような形で拝んでよいのかわからなかったが、とりあえず様々なことを祈る。
 私のじいさんは神主でもあったため、ちょくちょく外国の様々な聖地に赴いては、霊気を養っていた。私にはそんな霊気を貯め込むような芸当はできないが、山の神様に手を合わせていると、自然と前向きな気分になっていくような感じがする。


 夕陽が沈むと、またたくうちに夜空が星で覆い尽くされていく。その日は快晴で月も出ない夜だったため、寒かったが、ガスのような見事な天の川を見ることができた。
 ガイドに望遠鏡をすすめられたが、なんだかレンズを通して見たらTVで見る星と同じような気がして、首が痛くなるのもかまわず、肉眼でずっと天頂を眺めていた。
 ひときわさそり座のアンタレスが輝いて見えた。
 遠い星々で今何が起こっていようと、僕らは何も知ることはない。
 帰国して、「宇宙戦争」を見て、なんだか複雑な気分になったのはいうまでもない。