志の輔三連発。

marudonguri2005-07-26

 別に追っかけではないのだが、偶然今月は志の輔らくごに三度も足を運んでしまった。
 まずは、国立能楽堂で行われた「能楽どーよ」。これは以前から彼がやっている狂言とのコラボである。
能楽堂というのは当たり前だが、落語をやるようにはできていない。
写真の通り、柱がちょうど邪魔になる位置にあって、師匠の顔が座席によっては全く見えなくなる。
そのため、そういう角度の席は今回一列空けてあった。
私の席はその死角席のすぐ横の席なので、視野的にはかなり微妙だったのだが、まあそれも話のタネと考えればOK。
文楽コラボの時は落語との流れが密接に絡まっていたが、今回は予想に反して、狂言と落語の直接の交流は無い。
狂言が「死神」という落語の定番を借りてきてやったくらい。もう少し何かあるのかと思ったのでちょっと残念。
落語は「祖来豆腐」。


 次に行ったのが、若手芸人の腕を競う場でもある「にっかん飛切寄席」。
 会場のイイノホールはロビーでビールの小瓶を傾けることができるスペースがあって良い感じ。
 今回のお目当ては木久蔵の息子、きくお。決してうまくないが、天然ボケでいい味を出しているという評判を確かめたかった。実際、聞いた感じでは、それほど下手でもなく好感が持てる。枕の語りが評判のボケ味かと納得。
 志の輔はトリだったが、この日は紀伊国屋ホールでの「笑芸人」とのダブルヘッダーだったので、あまり期待していなかった。演目はおなじみ「千両みかん」。彼得意の一席。「笑芸人」のほうは「みどりの窓口」だったらしい。ネットにも書かれていたが、「笑芸人」も「にっかん」もあまり素人が来る席ではないので、もう少し冒険した噺でもよかったのではないかと思う。


 最後は、毎月恒例の「21世紀らくご」。新宿明治安田生命ホール
 ここのところ枕で使うネタが、郵政民営化。同じネタを三度連続で聞いてしまったが、今しか使えないネタなので仕方がない。しかし聞くたびに微妙に細部を変えていて、進化しているのがさすが。こういう枕の部分は後々にCDには収録されないので、ライブに行く価値があるというものだ。
 演目は「ちりとてちん」。
 酢豆腐男がちりとてちんを食うシーンでは、めったに見ない身体を張っての激しいアクションが見られる。この日は夏風邪で声をやられていたようだったが、本人曰く、そういう時の方がハイテンションになるのだとか。
 トリは「小間物屋政談」。これを選んだ理由も風邪にあるらしい。状況説明などの地の部分がきちんとあって、節目節目で噺の流れを確認できる性質のものなので、風邪で頭が弱っているときには都合がいいらしい。
 しかし風邪といわれなければ全くわからないさすがの出来。
 勘三郎と並んでまさに平成の天才をリアルタイムで見られる幸せを味わうひとときであった。
 

 その後、週末、沖縄で高座があったが、風邪のくせにゴルフやりたさに前日より現地入りしていたとか。
 走りすぎて、身体をこわさないでほしいものである。


 志の輔らくごについては、今月号の「群像」にも詳しく書いたので、どうぞご覧ください。