養老先生の昆虫館。

marudonguri2005-08-26

とある企画のご相談で養老孟司先生の別荘にお邪魔する。
別名、昆虫館。日本有数のコレクションとも言われる先生秘蔵の昆虫標本を保存するために建てたものである。
設計はニラハウスなどで有名な藤森照信氏。
先生曰く、古墳をイメージしているそうな。「死んだらそのまま埋めてくれ」と冗談もおっしゃっていた。
昆虫館と言われているが、ここはあくまで別荘なので非公開である。
中に入ると天井まで吹き抜けのドーム型の標本室があって、まさに昆虫が主の家である。
室温は通年で一定を保っており、ひんやりとしている。
部屋の脇には標本作製室があり、様々な顕微鏡などがずらりと並ぶ。この部屋が一番居て楽しいとのことである。



先生のお話を伺っていると、自然に様々な世界が繋がって見えてくるから不思議だ。
今回の企画は人々が抱える悩みについて、先生が答え、悩みを悩みでなくしていくという試みである。
以前から思うのだが、人生相談ほどおもしろいものはないような気がする。
他人の悩みは、時として、おもしろい。
当人は死ぬほど深刻なのだが、端から見ると、それは滑稽にすら見えてしまう。
人を悩みから解放するひとつの策は、他人の悩みを見ることかもしれない。
みのもんたの生電話がずっと続いているのもそんな理由だからか。
きっと、なんでそんなバカなこと悩んでるんだと他人のバカぶりを見ることで、自分のバカぶりをも再認識するのが大事なのだろう。
先生の語りは悩みを溶解させる作用を持っている。
文章で読んでもピンとこなかったことも、生で語られるとさもありなんと思ってしまう。
こうした効果がテレビを通してどれだけ伝わるか微妙だが、何か新しい工夫をもって生の語りを伝えてみたいと思っている。


窓から覗くと庭の先に多角形をした奇妙な小屋が見える。
そこは客間として利用されているらしい。
土台を作っている壁には、なんと「馬」と「鹿」の絵が。南伸坊画伯の手によるものである。
これぞまさしく「バカの壁」。