村上春樹「アフターダーク」 

 村上春樹アフターダーク」来る。
 和田誠のブックデザインにしてはシックな感じである。でもよく見ると、「アフターダーク」という題字のフォントデザインは「ザ・スコット・フィッツジェラルド・ブック」に似ているかも。
 まだ読み始めたばかりだが、今回のお話は特徴的なところがいくつかある。まずは話者の視点がカメラワークに則っている。とても映画的。そのためか文章がすべて現在形。映画の脚本のよう。こういったことが、読み進めるうちにどのような作用をもたらすのか非常に楽しみである。
 あ、それと例の村上風とも呼ばれるほどの背中がかゆくなりそうな、くすぐったい比喩などの言い回しが今回久しぶりに復活していてちょっとうれしい。やっぱりこれがなくちゃね。昔はなんだこりゃと思っていたが、無くなるとそれはそれで少し寂しい自分に気が付いた。読者というのは身勝手なものだ。これで「やれやれ」も出てきたら完璧なのだが。