モブ・ノリオと柄谷行人

文學界」10月号「行きはよいよい帰りはこわい ー熊野大学日記から」浅田彰
 先に芥川賞を受賞したモブ・ノリオ氏もこの熊野大学に参加していたことはもはや有名な話になりつつあるが、今年のセミナーにも参加していて、柄谷行人との会話のくだりが面白い。ちょっと抜粋。

 昔、Tシャツの袖に柄谷行人のサインをもらったという彼は、もう片方の袖にあらためてサインをもらいたいと言う。
柄谷「モブか。」
浅田「このあいだ文學界新人賞をとって、そのまま芥川賞をとった人ですよ。」
柄谷「ほんと? それはおめでとうございます。」
モブ「こんど掲載誌を送りますから。」
柄谷「いいけど、おれが読むと思うなよ!」
モブ「えっ、読まはらへんのですか・・・」
秋田実流漫才弁証法の門をくぐるのは賞をとるほど簡単ではない。