新球団は東京メッツ希望。

 プロ野球は今日もスト。まあ野球が中止になっても大多数の人には影響ないから、みんな気楽にスト賛成って言っている。これが電車とか飛行機とかだったら、そうはいくまい。労使の事情などおかまいなしに「早く動かせ」とか言うに違いない。そんなもんだ世論なんて。


 新球団参入について、朝からあちこちに楽天の社長が出演。サッカー好きなのはわかるが、ホントにこの人は野球好きなのだろうか。大学の時は確かアメフト部だし。
 ちなみに彼個人の会社はクリムゾンというが、これ大学時代のアメフト部の名前から来ている。だからクリムゾン・レッドの赤が好きなのだ。ヴィッセル神戸もユニフォーム、赤にさせられそうになったらしいが、もしプロ野球チームを所有したらそのチームのユニフォームは赤になるだろう。間違いない。


野球好きのオーナーで思い出すのは、水島新司の「野球狂の詩」に出てくる東京メッツのオーナーだ。いつもベンチに入り込んで、あれこれ憎まれ口を叩いているが、その実、最もチームのことを愛していて、ここぞという時、親分らしい懐の深さを見せる。素晴らしいのは、そこで情に流され過ぎることなく、ちゃっかり経営にも生かそうとするところである。愛すべきタヌキ親父なのだ。
 東京メッツのエースは岩田鉄五郎だが、この男、実は年齢50歳である。「にょほほ〜」という脱力する雄叫びとともに、稀代のひょろひょろ球で勝負を挑むドンキホーテ。まさに気合いだけの存在だ。ふつうはこんな選手、とっくにお払い箱だが、オーナーの考えは違う。
曰く、
「この三年間、鉄は1勝もしなかった。じゃがのオ 鉄は立派にわがメッツ球団の重役の座をつとめてきた。
 負けても 客は呼べる。 50歳の鉄が投げると予告すりゃ客は呼べた。そして事実客は来た。球団を儲けさせた立派な重役よ。」
 重役扱いである。
 50歳のエースなど実際どうかと思うが、要は強いだけが選手の魅力じゃないということだ。なにかその姿にロマンを感じる選手を客は欲しているのだ。このオーナーはそのへんをちゃんと知っていた。新規参入組オーナーはこういう愛すべき野球馬鹿にはどうしてもみえないのが残念だ。
 この「野球狂の詩東京メッツには岩田鉄五郎をはじめとして、魅力ある選手がたくさんいた。おなじみ女性投手の水原勇気、歌舞伎役者のスラッガー、玉一郎、オーバーアクション命の千藤ヒカルなどなど。
 こういうキャラに迫るような個性的な選手の出現を皆、期待しているのだ。


 楽天ライブドアもなぜか神戸や仙台と地方都市ばかりに照準を合わせているようだが、考えてみるとパリーグで東京を本拠地にしているチームは無い。なぜ一番集客できる東京を本拠に考えないのか?集客以上にコストがかかるのだろうか。仙台のボロ球場とか直すより東京ドーム借りたほうが安いように思うが。
 どうせならいっそのこと、東京メッツを現実化してほしい。往年のマンガファンは泣いて喜ぶぞ。今まで野球など見向きもしなかったオタク層も取り込めるかもしれないし。
 ライブドアなんとかーず、とかつけるより東京メッツのほうが数段素敵だ。ユニフォームも原作そのままで、本拠タウンは国分寺あるいは東京下町。ドームを借りても心は下町。始球式とかには実写版で水原勇気役をやった木ノ内みどりが登場。名誉オーナー水島新司
 妄想めいているが、しかしまあこのくらいの思い切った改革しないと一度離れたお客は戻ってはこないと思う。