今月は自分が企画に携わった「ミッション:フロンティア」(東京都写真美術館)という宇宙をテーマにしたアート展が始まり、準備に明け暮れた。
 宇宙は今までも、いくつかの映像制作などの仕事で関わったことのあるテーマなのだが、実際、自分自身はそんなに宇宙そのものに関心があるわけではない。
 男の多くは小さい頃にロケットや宇宙飛行士などに憧れを抱くものだが、自分にはそういう記憶が全く無い。むしろもっと目に見えない宇宙の成長やら時空のねじれなどといった理論系に興味があった口だ。
 なので、今回の企画でも、往年のアメリカ宇宙飛行士の肉声やら数々の宇宙フィギュアなどを見ても、他の同年代の者が抱くような「萌え」には至らなかったのが残念だ。


 こういう傾向は宇宙に限らず、他のいわゆる「男アイテム」、例えば、恐竜だとか車・バイクだとかロボットだとかその他メカものなどに至るまで、昔から興味がなく、今でもそういう話になると一人蚊帳の外状態である。
 特に自分の同世代は、いわゆるオタク第一世代なので、そういう趣味の話題が頻出する傾向にある。
 今流行りのCMや番組を見ても明らかだが、レトロな曲や昔のアニメのモチーフ、設定などが多用されるようになっているのは、このオタク第一世代が、社内で決定権を持つ地位になっていることが原因だ。
 「この曲どうですか?」「お、懐かしいねえ。ドーナツ盤で買ったよ」「この頃、パンダとか来日しましたよね」「おうそうだ、並んだ並んだ」「じゃあパンダとかも使いますか」「いいねえ。カンカン・ランラン人気にあやかって、リンリン・ランランって付けたんだよ」「懐かしいすね。懐かしついでに、シチュエーションは二階の物干し台にしますか?」「おー、エンディングで決まって浅田美代子が物干し台でギター弾くんだよな」「物干し台って今無いすよね。」「昔はよくそこで天体望遠鏡とか覗いたんだけどな」「ベルトクイズQ&Qとかスーパージョッキーとか出て当てるんですよね」「グリーンスタンプとか貯めて引き換えるんだよ」「学校ではベルマーク集めて、プラネタリウム買うんだとか無理なこと真剣にやってましたよ」
 きりがないので、このへんでやめる。昭和は遠くなったのに、今また亡霊のように現れているのである。